“自分におどろく”青い星地球に誕生する命の尊さ(平成29年9月号掲載)

 「町長、先日長女が誕生しました。私たち2人が役場に入っていなかったら、結婚もなかっただろうし、長女の誕生も当然なかったと思う。あらためて役場に就職できたこと、ありがとうございます。」
 誕生の喜びをかみしめるように、ご主人のT君が町長室に報告に来ていただいた。
 言葉の端々に、笑顔の隅々に、喜びの気持ちが満ちあふれていた。
 命は、運命的な出会いや、大切なご縁によって誕生しつながっていくことを、あらためて感じさせられたひとときであった。
 童話作家である、たなかかずおさんのすてきなお話しに、旭山動物園が生んだ画家、あべ弘士さんが慈しみの絵を乗せ、先々月“自分におどろく”という本を出版された。
 「きみのいのちは 40億年前に生まれた たった一つの細胞から始まった。
いのちは進化して、木や草やライオンや象になった。
 ムカデやタコにならず、きみは まっすぐ人間の道をたどって いま そこにいる。それは すごいことだ。まさに奇跡なのだ。」
 さらに
 「『地球は青かった』とガガーリンがいった あれから一世紀足らず 科学文明はすすんだが 人間は懲りることなく 愚かな戦争に歯止めがかからない ひょっとすると 地球は茶色になりかけていないか。
 想像してごらん はじめはたったひとつの細胞だった それから40億年かけて 生命の 赤い糸が ずーっとつづいて 人類になり そうして いまここに きみはいる。」とつづられている。
 地球に人類が誕生して約400万年といわれるが、そう考えると私たち一人一人の人生はほんの一瞬かもしれない。しかし、歩む道のりは山あり谷あり、充実した日もあれば反省の日もあり、それぞれの人生過程は極めて長く感じる時もある。 
 今回“自分におどろく”に接し、つないでくれた奇跡の命に感謝し、世界平和を祈らずにはいられなかった。 
 結びに「この青い星地球を、子や孫に引き継ぐことを心に決めよう。この本を世界の子どもたちに読んでほしい」と、作者は訴えている。
 この童話は、地球誕生から自らの命の誕生まで、40億年にわたる壮大な命の物語である。
 私はこの本を、青い星に誕生してくれた、T君ご夫妻の赤ちゃんにプレゼントした。

(平成29年9月号・広報とうま掲載コーナー・第157回随筆)