「ゆっくり のんびり」 池沢紋子さん(3西3)

長男しゅうごが東川養護に通いはじめ早3年。体つきは3年生でも発達年齢は幼く、思いのまま天真爛漫のいたずら盛りで家族は翻弄されっぱなし(笑)朝の時間きれいな部屋で出発したことはほぼないですね。
 かかりつけの小児科医で2歳半のとき、専門医受診を勧められ"知的障害を伴う自閉症"と知りました。不安な受診は支援センターの先生の支えでスムーズでしたが、初期の診察で衝撃の言葉が飛んできました。
 「あなたは明日から子育ての考えを変えてください。母子間で心のコミュニケーションが通じていません。今の状態ではお母さんの言葉はわが子に届きませんよ!」
 些細な診察用具のいたずらを口やかましく制止していました。普段から「きちんと型にはめないと」と思いが先立っていました。
 主治医の真意を掴み「ダメなこと→感情で怒らず、何度も同じことを穏やかに指摘する」をできるまで半年かかったと思います。
 「ダメ」は強すぎる否定だそうです。危害・命の危険以外には使うな、と自分に言い聞かせて接しています。 
 感情に任せて叱るのは意味がない。情報の整理が苦手。注意を受けた原因と結果が繋がりにくい。怖い顔と声の映像のみが強烈に残る→この場所は母が怒りだす。と誤学習してしまう。とも指摘をうけました。
 頭を切り替えるのは混乱でしたが、否定は極力肯定の言葉におきかえ、表現は柔和にと心がけ、最近は診察のたび「良い信頼関係ができているよ」といってもらえるようになりました。
 大好きな母からの言葉が否定だけに満ちて胸を覆い尽くしたなら…子は自らを疑問に思い壁ができてしまうかも。第2子健常児の妹にも同じ接し方になってしまいました(笑)が、感情が前に出るのはしばしばで日々己との戦いです。身辺自立に課題が多い長男ですが力みすぎず、プロの助けを借りながら焦らずいきたいです。

(2017年11月号・広報とうま掲載文より・第126回エッセー)