「33回目の収穫の秋」 羽根敏さん(中4)

 私も早いもので今年50歳になり、米農家として歩み始め33回目の収穫の秋を迎えようとしています。今年の水稲については、田植え後から日照不足や低温により、作柄が心配されましたが、7月以降好天に恵まれ今年も皆さんに喜んでもらえる美味しい“新米”が収穫出来ると思います。
 私が高校を卒業後、就農した当時は外国との農産物の輸入自由化問題や、戦後から続いた食料管理法の廃止など農業政策が大きな転換期となり“やっかい道米”と揶揄され北海道稲作は真っ先に淘汰されると言われた時代でした。しかし、生産者、JA、町をはじめ各関係機関が団結し幾多の試練や問題を乗り越え、高品質良食味米の生産に取り組み、今では関東、関西をはじめ全国の消費者から高い評価をいただき全道屈指の米産地に成長しました。
 また、今日の当麻農業の発展にはこの当麻の美しい田園や、大雪山の清流を利用した水田用水路施設、そしてカントリーエレベーターをはじめとした数々の農業施設などを築き上げた先人、先輩方の大変なご苦労があった事を決して忘れず感謝し、私達はその恩恵を受けこれからも農業技術の向上に努めこの豊かな当麻の農地や自然を守り、次の世代に伝え継承するのが今を生きる私達農業者の務めだと考えます。
 あと数日で今年の稲刈りも始まりますが何より農作業事故に充分に注意し順調に作業が進み、農家にとって一年の苦労が報われる出来秋を心から願うばかりです。この時期に相応しい有名な俳句に「実るほど頭を垂れる稲穂かな」がありますが、私もこの俳句の通り常に感謝と謙虚の気持ちを忘れず、家族や多くの仲間たちとともに、生まれ育ったこの当麻町を愛し、そして開拓魂を忘れずこれからも歩んでいきたいと思います。


(2018年9月号・広報とうま掲載文より・第135回エッセー)