「習い事」 西森 志津香さん (宇園別1)
私は今、茶道を習っています。高校一年の時、“楽そうだから”という理由で茶道部に入り、高校卒業後は友達が続けるからという理由で私も習い続けました。言うまでもなく単純で適当な動機です。
しかし、友達は途中でやめ、私は一人になりました。親しい人には不似合いだと言われ、稽古では何度も同じ事を注意され、私自身、続ける理由が分からなくなっていました。
自慢になる程の事はできないし、お金もかかる。茶道を習うのは嫌いじゃないけど、自分にはとても難しい。もうやめたっていいんじゃないかと、何度も思いました。でもそれ以上に、先生は何度も「ずっと続けてほしい」と言ってくれました。
その度に、私が習っている事は無駄じゃない、ちゃんと意味のある事だと思えたんです。日常生活では滅多に使わない知識だし、人に見せる機会もないかもしれません。だけど、何十回と繰り返し、何十回と注意され、努力して覚えた事を忘れてしまうのは勿体無い、そう思うのです。
いつも間違えていた手順を正しくできた。綺麗なお点前だったと先生に褒められた。稽古が進んで、新しいお道具に出会えた。覚えていく度に嬉しい事、喜べる事がこんなに増えて、今ではやめたい理由の方が見つかりません。
稽古中に食べられるお茶菓子は市販で売ってるチョコやスナック菓子より美味しい。その後に抹茶を飲む瞬間は本当に幸せ。そしてすらすらとお点前が出来た時の達成感。
堅苦しくて、自分には無縁の世界だと思っていました。ここまで習い続けていなければ、こんなに柔らかくて好きになれる世界だとは思えなかったでしょう。
だから私は心から思います。習い続けて良かったと。努力して覚えた事を大事にしようと。そして、これからも学んでいこうと。
(2013年11月号・広報とうま掲載文より・第82回エッセー)
しかし、友達は途中でやめ、私は一人になりました。親しい人には不似合いだと言われ、稽古では何度も同じ事を注意され、私自身、続ける理由が分からなくなっていました。
自慢になる程の事はできないし、お金もかかる。茶道を習うのは嫌いじゃないけど、自分にはとても難しい。もうやめたっていいんじゃないかと、何度も思いました。でもそれ以上に、先生は何度も「ずっと続けてほしい」と言ってくれました。
その度に、私が習っている事は無駄じゃない、ちゃんと意味のある事だと思えたんです。日常生活では滅多に使わない知識だし、人に見せる機会もないかもしれません。だけど、何十回と繰り返し、何十回と注意され、努力して覚えた事を忘れてしまうのは勿体無い、そう思うのです。
いつも間違えていた手順を正しくできた。綺麗なお点前だったと先生に褒められた。稽古が進んで、新しいお道具に出会えた。覚えていく度に嬉しい事、喜べる事がこんなに増えて、今ではやめたい理由の方が見つかりません。
稽古中に食べられるお茶菓子は市販で売ってるチョコやスナック菓子より美味しい。その後に抹茶を飲む瞬間は本当に幸せ。そしてすらすらとお点前が出来た時の達成感。
堅苦しくて、自分には無縁の世界だと思っていました。ここまで習い続けていなければ、こんなに柔らかくて好きになれる世界だとは思えなかったでしょう。
だから私は心から思います。習い続けて良かったと。努力して覚えた事を大事にしようと。そして、これからも学んでいこうと。
(2013年11月号・広報とうま掲載文より・第82回エッセー)