シンボルツリー(?)  安藤 千幸 さん (3東3)

 職場が子育て総合センターに移転をして、もうすぐ半年が経とうとしています。その新センターの前庭に、樹齢何年か、名も知らない(私は・・)大きな木が2本、寄り添うように立っています。普段、木々を目にすることは多くありましたが、毎日彼らを見上げることで、今まで気づかなかった日々の小さなドラマがそこにはあり、それらを見守るかのように、彼らは様々な演出をしてくれていました。
 朝の犬たちの散歩や杖を交えての人生の先輩たちの近況報告の場面では葉音でのBGM、幼稚園や〈たっち〉〈ぽっかぽか〉から帰る子どもたちやそれを見守る母たちには柔らかい木漏れ日の光、公園やせせらぎであそぶ小学生たちの自転車置き場としての木陰、夕刻にはスポーツセンターから聞こえてくる掛け声や疲れて併走する自転車にエールを送るかのような風音・・そんな毎日のドラマがあることに気づかせてくれました。時には、私たちにも季節の便りや天候の急な変化なども知らせてくれています。
 新センターを設立するにあたり、何本かの木々たちが止むを得ず伐採されたとも聞いています。そんな木々たちの分も、これから先何十年も、時には大雪山を背景に凛とした姿で、時には草花を包み込むように優しく〈ここに集う人たち〉を見守り続けて欲しいなと、思っています。
 そして、これからどんなドラマの続きを見せてくれるのかを楽しみにしながら、私たちもそんな彼らと同じように、〈ここに集う子どもたち〉を見守っていくことができたらいいなと思っています。

(2012年9月号・広報とうま掲載文より・第69回エッセー)