「じいちゃんの子守り唄」  柳田 麻里さん (中央3)

 ♪ねんねんよ~おころりよ~坊やはめんこいねんねしな~ねんねしな~♪ 私の父が孫のお守りの時に歌ってくれた、自作?の唄です。
 後ろに続く歌詞はなくメロディも適当です。ただ繰り返し歌うだけです。決して上手でもありませんでした(笑)
 父には孫が5人います。その中にただ一人男の子ができました。私の息子なのですが、よほど嬉しかったのか、可愛かったのか、私たちが赤ちゃんの時には、その様な事などしてくれなかったと聞いています。
 その孫も今では高校生です。ちょっと聞いてみましたが残念な事に「覚えてないよ」でした。まあ当然ですよね。でも、じいちゃん聞いたらガッカリだろうなぁ。その父も他界して3年になります。
 実は昨年の秋に、私にも孫ができました。おばあちゃんの仲間入りです。ちょっと気持ちは複雑でしたけれど。「孫って可愛いよ」とババ友のお言葉!そのとおりでした。
 忘れていた「じいちゃんの子守り唄」を気がつくと孫を抱いた時に口ずさんでいました。子守り唄はいろいろあるけれど、頭に浮かんでくるのはこれだけでした。
 近ごろでは孫も一緒に「あ~あ~う~う~」と歌ってくれます。なんとも幸福なひとときです。私も優しい気持ちになれます。同じ様な気持ちだったのでしょうねきっと父も。
 先日娘も寝かしつけるのに口ずさんでいました。これからもまだまだ増えるであろう孫のために歌い続けたいです。

(2012年5月号・広報とうま掲載文より・第65回エッセー)