「道の真ん中で眠る犬」 飛鳥馬 純子さん (中央7)
昨年11月、ブータンからワンチュク国王夫妻が来日されました。私は6年前、このヒマラヤの王国で4カ月ほど暮らした経験があります。
獣医師として国立動物病院に勤めながら、首都ティンプー市の野良犬対策キャンペーンに参加しました。ブータンでは野良犬の趣がちょっと違っていました。町のあちこちでみな幸せそうに寝ているのです。
国唯一の信号のある交差点(ポリスの手旗信号ですが)の真ん中で、数頭の犬が寝ていることもしばしば。ポリスも車も通行人もそっと見守り、犬をよけて通ります。友人に聞いてみると、くすっと笑って「だって彼らは眠いんでしょ」と言いました。
野良犬対策も、どうにも増えすぎてしまったので、やむなく捕まえて避妊虚勢手術と狂犬病の予防接種をしますが、また元の場所に帰って自由に余生を過ごしていいと言うのです。
2005年初の国勢調査で「幸せですか?」の問いに95%の国民が」幸せです」と回答したそうです。チベット仏教の教えの基に自然と家族、そして国王に感謝して暮らしているブータンの人たち。犬の受け入れ方一つ見ても、彼らのそんな日常が「幸せを感じる力」を育てるのでしょう。
ワンチュク国王が福島で子どもたちに語った「龍の話」は印象的でした。
「みなさんは龍を見たことがありますか?私はあります。龍はみなさんそれぞれの中にいます。龍は『経験』を食べて大きくなります。年を追うごとに龍は大きくなるのです」。
蟠龍伝説の息づく当麻の地で、私の中の龍を感じていきたいと思います。すてきな人たちに支えられ過ごしている日々に感謝して。
(2012年3月号・広報とうま掲載文より・第63回エッセー)
獣医師として国立動物病院に勤めながら、首都ティンプー市の野良犬対策キャンペーンに参加しました。ブータンでは野良犬の趣がちょっと違っていました。町のあちこちでみな幸せそうに寝ているのです。
国唯一の信号のある交差点(ポリスの手旗信号ですが)の真ん中で、数頭の犬が寝ていることもしばしば。ポリスも車も通行人もそっと見守り、犬をよけて通ります。友人に聞いてみると、くすっと笑って「だって彼らは眠いんでしょ」と言いました。
野良犬対策も、どうにも増えすぎてしまったので、やむなく捕まえて避妊虚勢手術と狂犬病の予防接種をしますが、また元の場所に帰って自由に余生を過ごしていいと言うのです。
2005年初の国勢調査で「幸せですか?」の問いに95%の国民が」幸せです」と回答したそうです。チベット仏教の教えの基に自然と家族、そして国王に感謝して暮らしているブータンの人たち。犬の受け入れ方一つ見ても、彼らのそんな日常が「幸せを感じる力」を育てるのでしょう。
ワンチュク国王が福島で子どもたちに語った「龍の話」は印象的でした。
「みなさんは龍を見たことがありますか?私はあります。龍はみなさんそれぞれの中にいます。龍は『経験』を食べて大きくなります。年を追うごとに龍は大きくなるのです」。
蟠龍伝説の息づく当麻の地で、私の中の龍を感じていきたいと思います。すてきな人たちに支えられ過ごしている日々に感謝して。
(2012年3月号・広報とうま掲載文より・第63回エッセー)