「とある一日のこと」  石川 幸子 (緑郷3区)

 山の緑がこんもりとだんだんブロッコリーのようになってきました。今年もこの季節がやってきたことをうれしく思います。
 当麻町へ引っ越してきて3年が経ちました。3年目にしてようやく家の目の前の桜並木が満開になるのを見ることができ、感激でした。毎年春が近づくとそろそろ咲くのか、どうなのか気になってそわそわし始めます。昨年はちょうどつぼみがつきはじめた頃霜に当たってしまい花が咲かずがっかりしたものです。そのような家の前の桜たち、今年はどうだ!とばかりにたくさんピンク色の花をつけて、それはそれは美しかったです。
 桜の花びらを少しいただき、水に浮かべ太陽の光にしばらく当てる。その桜水を飲むとなんだか心がふわっとあたたかくなるような気がします。日本酒に花びらもいいです。これを書いている今、太陽は輝き、いろんな鳥たちがさえずり、カッコーも”カッコー”と鳴いています。ダンプカーの往来は激しいですが今日も素晴らしい景色がひろがっています。
 この恵まれた環境で今日も平和に生きていることがありがたい。日々に追われ、素晴らしい環境にも慣れ、忘れてしまいがちだけど大切にしたいこの環境。エコということばをよく耳にしますが、私の暮らしはまだ本当のエコには遠いです。ですが未来ある子供たち、これから生まれくる先の先の、そのまた先の子どもたちのためにも少しでも環境に負荷をかけない生き方をしたいものです。とりとめのない文章ですが。
 最後に白鳥が渡ってくる季節、当麻ダムで羽やすめをする無数の白鳥はさながら白鳥の湖。当麻町で見た感動の景色の一つです。

(2009年7月号・広報とうま掲載文より・第34回エッセー)