「生きること」  野村 典弘 (中央5区)

 月日は早いもので私が農業を職とし一生懸命人生を生きると心に決めてから丸3年、今年で4年目に突入します。以前は旭川でサラリーマンをしており、休日には実家の農業の手伝いをしていました。そんな中「農」という職の素晴らしさを知り、当麻に根を下ろすことに決めました。
 私は以前自分探しの旅をしており、「もっと世界を観たい、自分はなに者?」とよく考えていました。当麻に来てから2年目に突入する頃、自分は自分でしかなく全てによって「生かされている」のだと自然と人間の摂理によって気づかされました。農業は言葉なき生き物(植物)と向き合わなければならない職であり、彼ら(植物)から本当に多くの事柄を学ばせてもらいました。
 私は無農薬で有機肥料を使って栽培していますので、虫が多く出ます。そう、虫との格闘…。でも虫にバカにされています。とほほ…。だから楽しく、うっまい物を作ろうと本当に思うんですね、人間は。
 で、私には当麻での友達がなく、人間どうしの心の触れ合いを望み、ブラウンに行くようになりました。ブラウンのマスター高谷君と、鈴の屋の深谷君に多くの方たちを紹介してもらい友達がたくさんでき本当に感謝しています。人間である以上、人と接し学ぶことも大事であり、教えられ「生かされている」と強く感じます。
 個人と社会と自然、人間としていろんな意味で進化をさせてくれる磁場の強い当麻町に来て良かったと思っています。人恋しく、夜な夜なブラウンに行き友とアルチュー座談会。次の日は目を真っ赤にして仕事。「飲みすぎ注意やな~」と深く深く反省をしている日々です。
 まだまだ若輩者であり小心者でありますが、抗(あらが)うことなく全てを受け止め生かされていることに感謝をし、これからも一生懸命生きていきたいと思います。

(2008年4月号・広報とうま掲載文より・第20回エッセー)